鋼材技術コラム
鋼材の天敵!?錆びから鋼材を守る方法をご紹介!
- 平鋼
鋼材に携わる仕事をされている方々は、湿度が高くなる梅雨の時期など、錆びに頭を悩ませる方は多いのではないのでしょうか。鋼材や鋼材を使用した構造物の配達をする際、平ボディのトラックを使用することが多いため、我々鋼材屋からすると錆びを誘発する雨は天敵ともいえます。今回は、鋼材の天敵である錆びについて詳しく解説します。
錆びの原因とは?
錆びの原因は鉄と酸素が化学反応によって結合すること、つまり酸化現象です。鉄分子が空気中の水分と酸素と結合し、茶色の「酸化鉄」になります。鉄が濡れてしまうと錆びるのが早くなるのは、鉄が水分に直接触れることによって、水と酸素に反応しやすくなるためです。また、塩分が付着すると、吸湿性の高い塩分が大気中の水分を吸収するため、より錆びが進みます。
錆びによる不具合
この錆びが発生することにより、主に下記の不具合が発生します。
・外観が悪いと認識される
・溶接時に電気が通さなくなり、熱を加えてもはじけてしまう
・塗装時に錆び部分が浮き出てしまう
つまり、錆びが発生すると、機能面の低下はもちろん、鋼材価値の低下にもつながります。そのため、一般的には、「錆びていない鋼材」というものに需要があります。(※あえて錆びさせることにより、プラスに働く工法なども業界によっては存在します。)
錆びから鋼材を守る方法!
そんな鋼材の天敵である「錆び」を防ぐ方法をご紹介させて頂きます。
防錆方法1. 換気と防錆油の塗布
保管するうえで最も簡単な方法の一つとして、換気と防錆油の塗布が挙げられます。換気については、空気を循環させることで、水分の付着を防ぎます。また、防錆油の塗布については、鉄が直接空気に触れないようにすることで、錆びを防止します。
防錆方法2. 鋼材への表面処理
鋼材の表面に加工を施すことで、長期的な錆び対策を実現することができます。具体的な表面処理の種類をご紹介します。
表面処理①:錆止め塗装
鋼材の表面に錆止め塗装を施す方法です。塗料に関しては油性系やエポキシ樹脂系など種類がございますので、用途に応じて選定します。
表面処理②:溶融亜鉛めっき
高温で溶かした亜鉛のプールに鋼材を漬け、表面に被膜を形成する方法です。特徴としては、①高い耐食性、②塗料と比べると強度が高い、③高い密着性があるため、容易に剥離しない、などが挙げられます。主に沿岸部や橋脚など、屋外で使用される構造物に施すことが多い方法になります。
表面処理③:電気亜鉛めっき
水の中で亜鉛を電極で付着させる方法です。溶融亜鉛めっきより少量の膜厚に仕上がるため、耐食性という面では劣りますが、精度が良く、見栄えが良いのが特徴です。ドアノブや配電盤など、主に屋内で使用するものに対してすることが多いです。
表面処理④:ユニクロメッキ
亜鉛の電気めっきした材料に対してクロメート処理したものです。クロメート処理を施すことで亜鉛を酸化から防ぎます。シルバーに青みがかった色味に光沢があることが特徴で、その特徴から主に装飾めっきとして用いられます。耐食性が低いため、屋外で使用するには向いていません。
防錆方法3. 塗装もしくはめっき加工(プレめっき製品)が施された鋼材を購入する
鋼板を始め、形鋼やパイプなど製鋼メーカーで防錆加工を施した鋼材が市中で手に入れることが可能です。品種ごとの防錆加工鋼材を下図にてまとめておりますので、是非ご参考ください。
鋼板 | カラー、電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき、ガルバリウム鋼板(アルミ亜鉛合金めっき鋼板) |
FB | 溶融亜鉛めっき |
L、U | カラー、溶融亜鉛めっき |
角P | カラー、溶融亜鉛めっき |
丸P | 溶融亜鉛めっき |
C型鋼 | カラー、溶融亜鉛めっき |
市中に出回っているサイズは限られますが、定尺品もしくは切断品での入手が可能です。切断品を購入する際、塗料散布後に切断するため、端面(切断面)は塗料が乗っていないので注意が必要です。端面には錆防止のため、切断後にタッチアップペイントを施すことが多いです。プレめっき製品を購入するメリットとして、溶融亜鉛めっきする際のスカラップの手間や熱による歪を気にして製作しなくて良いことも挙げられます。
表面処理の世界は多岐に渡るので、今回のコラムでは紹介までとさせて頂きます。今後、表面処理について深堀したコラムを掲載する予定です。
鋼材加工品に関することなら鋼材加工技術Naviまで!
いかがでしたでしょうか。今回は、錆びから鋼材を守る方法についてご紹介しました。鋼材加工技術Naviを運営する丹羽鋼業株式会社には、平鋼をはじめとした各種鋼材を豊富に取り揃えております。お客様の多岐にわたるニーズに対してこれら様々な鋼材をもって貢献することができています。当社の平鋼をはじめとした各種鋼材への圧倒的なノウハウでお客様の課題解決を実現しますので、鋼材に関するお悩みは是非当社にご相談ください。